原因不明の関節痛 柏原氏

ステロイドの副作用との戦い

インタビュー 柏原氏

リウマチの症状で苦しむ。関節や筋肉が硬直、激痛。動くことも寝ることも辛い日々が続いていた。病院でリウマチの治療を始めようとしていた矢先、岡嶋氏がこの炎症はウマチ以外の要因であると気づく。現在治療中。全快間近。

岡嶋氏との出会い

――岡嶋先生の鍼治療を受けるきっかけをお聞かせください。

 

柏原氏: 10年前、妻が不定愁訴(何となく体調が悪いという自覚症状を訴えるが、検査をしても原因となる病気が見つからない状態)になり、いろいろと病院を回ったのですが、原因がわからないということで治療をしてもらえなかった。岡嶋先生と出会い、岡嶋先生の鍼治療を受けるようになってから、いつもすっきりして帰ってくるのです。体の調子がとても良くなると。
そこで私も妻に紹介してもらいました。少し体の調子が悪いような感じがして。しかし岡嶋先生は、私の身体を診るなり『この人は治療しなくていいですよ』って言うんです(笑)

 

岡嶋氏: 元気でしたね。お酒は良く飲まれていましたが、身体を鍛えていたので内臓自体はそんなに悪くなかったです。もちろん鍼治療を始めていただいたら健康を維持できますが、それはなかなか私からは勧めれない。悪いところがないのに、なんで通わないといけないの?と思いますからね。

 

――その時は治療はしなかったのですか?

 

柏原氏: 腰が少し痛かったので、とりあえず治療をお願いしました。

 

――初めての鍼治療の印象はいかがでしたか?

 
鍼治療に使用する細い銀鍼

治療に使用する細い銀鍼

柏原氏: 鍼が太いイメージがあったので初めは怖いと思っていましたが、岡嶋先生は細い銀鍼を使用されていました。髪の毛のような。だから痛くないんですよね。岡嶋先生は触診し、何処が悪いのか即座に分かられる。黙っていても悪い部分を把握し、治療してくれました。なんでわかるの!?と思いましたね(笑)

リウマチと病院で受けた曖昧な診断
―『リウマチではない』岡嶋氏の見解―

当時の症状をを語る柏原氏

当時の症状をを語る柏原氏

柏原氏: 身体に違和感を感じたのは去年(2015年)9月でした。町医で検査をし、検査結果をもとにリウマチの持つ傾向が出ている、リウマチの懸念があると言われ、大きな病院を紹介してもらいました。

 

――具体的にはどのような症状だったんですか?

 

柏原氏: まず関節が動かなくなり腫れました。膝関節が痛み、正座が出来なくなりました。次に筋肉がいうことをきかなくなりました。背中の筋肉や肩甲骨あたりの筋肉が痛かったり、寝ること自体が痛くて辛かったです。動けなくなると同時に10㎏~12㎏ぐらい体重が落ち、瘦せ細っていきました。そして岡嶋先生に再び診てもらいました。

 

――この状況を岡嶋先生はどう思われましたか?

 

岡嶋氏: 体的にも数値的にも柏原氏さんはリウマチではない、というのが僕の見解でした。血液検査の数値を見ても慢性的な炎症が起こる炎症所見(CRP)が異常に高かったものの、腎臓や肝臓のダメージが全くなかったんです。数値だけで見ると、病院ではリウマチと判断せざるを得ないと思う。しかし僕は、体を触って腎臓や肝臓の強さを計れます。リウマチの人だと弱っているはずの腎臓と肝臓が弱っていないのです。これは絶対にリウマチではないと思いました。

 

――リウマチ=腎臓が悪い状態ということですか?

 

岡嶋氏: そう。腎臓が人間の底力。腎臓が弱ると、いろんなところに所見が出てきます。ただ、この段階で慢性的な炎症が起こる原因が分からなかったんです。

 

――リウマチと判断されると、病院ではどのような治療が施されますか?

 

岡嶋氏: 不治の病と言われてます。ステロイドを中心とした薬での治療を一生続ける形になります。

 

――後にリウマチ以外の原因が分かったのですか?

 

柏原氏: そうです。岡嶋先生はリウマチではない、他に要因があるんじゃないかとずっとおっしゃっていました。検査結果の数値と身体を実際に触診し総合的に診断されます。他にもおかしいところはないか?と、もう一歩踏み込むとまた違う答えが出てくるでしょう?そこが違いだったと思います。そして『柏原さん、脱腸ですね』と岡嶋先生に言われました。

ステロイドの副作用

――脱腸はどうやって見つかったのですか?

 

柏原氏: 治療中に岡嶋先生が脱腸であることを認識されました。『あ、これが要因として大きいかもしれませんね』という判断でした。

 

――岡嶋先生だから原因がわかったのでしょうか?

 

岡嶋氏: 数値での判断だけでは見つけれない症状でした。僕の経験と技術で発見できたとは思います。

 

――岡嶋先生は脱腸であることを認識されてから、どのような処置を取られたのですか?

 
脱腸が炎症の原因だと指摘する岡嶋氏

脱腸が炎症の原因だと指摘する岡嶋氏

岡嶋氏: 脱腸が炎症の原因だとわかりました。しかしすぐに手術も出来ない。まずは西洋医学的にステロイドで炎症を抑え、柏原さんの体を楽にさせてあげることが先決だと思いました。そして早期の手術です。本当はステロイドは使いたくないのですが、柏原さんの場合は使った方が総合的にいいと判断しました。体に溜まったステロイドは、後で僕の鍼で抜こうと。

 

――体に溜まったステロイドを岡嶋先生の鍼で抜くことができるのですか?

 

岡嶋氏: はい。私の鍼治療ではそれが可能です。

 

柏原氏: 岡嶋先生からは『ステロイドでまずは炎症を抑えましょう。そして早期に手術することで元の状態を目指し、鍼治療で身体の復活を手助けしますよ』と言って頂き手術を決めました。鍼治療と大きな病院に通院をしながらステロイド薬の使用を開始しました。

 

――ステロイドの効き目はどうだったんでしょうか?

 

柏原氏: すぐに効き目がありました。薬を飲んだときは楽になりました。ただ…ステロイドは副作用が怖い、先が怖かったです。

 

――実際にどんな副作用があったんですか?

 

柏原氏: 顔が浮腫(むく)んだり、食欲が増進し太りました。白内障(はくないしょう)の系統が出てたというのも薬の副作用でしたね。目が衰えました。

 

岡嶋氏:薬全般、溜まるところは肝臓。解毒しきれないから肝臓が弱ります。肝臓は東洋医学でいうと目とか筋肉にあたります。筋肉自体の収縮力が均等にならず身体の中に水が溜まりやすく浮腫(むく)みになる。長期にステロイドを使用すると顔がパンパンに腫れてしまいますね。ステロイドの使用量を徐々に減らしていっても肝臓に溜まって抜けることはほとんどない。僕の鍼治療では、肝臓からステロイドを抜いていきます。現在も柏原さんには “抜く治療”をしています。

 

――ステロイドを抜かずに使用し続けるとどうなりますか?

 

岡嶋氏:免疫力が低下するのでいろいろな病気にかかりやすくなります。膠原病や最たるものは癌。

 

――ステロイドの副作用は怖いですね…

 

岡嶋氏: 薬は全て副作用があります。ただ使いようだと思います。即効で炎症を抑えるには効果的。ただ、継続使用に問題があるんです。病院と相談しながらステロイドを減らし、鍼治療でそれを抜く。これが有効だと思います。

岡嶋氏の治療法

――具体的にどのような治療方法を行ったのでしょうか?

 

柏原氏: 最初にステロイドが劇的に効いたので、今度は減らすという努力をしました。岡嶋先生には血液検査のデーターを見てもらいながら治療の方向を決めて頂き、月に2回、血の流れを健康体に戻す治療をしてもらいました。

 

岡嶋氏: 具体的に身体全体を正しく使えるようになるには、身体の歪みや姿勢を正すこと。筋肉に刺激を与え、身体全体の血流を上げる鍼を打ちます。薬が肝臓に溜まらないように、肝臓の血流を上げる鍼を打つということです。即効性の高いステロイドを使う西洋医学と、東洋医学の鍼と並行治療を行いました。

 

――5月の手術が終わってから身体は動くようになりましたか?

 

柏原氏: 術後は回復速度が速まり、岡嶋先生に自己治癒力を上げる治療をして頂き身体は動くようになりました。6月に血液検査を受けた結果、数値が正常に戻ったんです。そこで薬を減らしましょうと。ステロイドの使用時は15㎎だったのが、今は3㎎です。量を減らしたのに数値が正常に戻ったということは、岡嶋先生が血量を調整し、私の自己回復力を後押ししてくれるような治療をしてくださったんだなと思いました。

 

――血の循環を良くすることにより、数値は速く正常に戻りやすいのですか?

 

岡嶋氏: もちろん。身体は内臓から動くわけですから、血液の循環が滞ると内臓はどこか悪くなってくる。血液の循環が人はとても大事です。血液の循環を良くし、内臓を弱らさないことが僕の治療です。内臓が強ければ薬の副作用も出にくくなり、治りも早くなります。柏原さんの場合は、西洋医学と東洋医学の両方があったからこそ、お互いの得意分野を生かせたと。鍼の力だけでは無理だったし、ステロイドだけでも無理でした。

 

柏原氏: 西洋医学と東洋医学の良いところを両面ミックスする治療体制が出来たらいいなと思いますね。

 
若い鍼灸師に向けて岡嶋氏

若い鍼灸師に向けて岡嶋氏

岡嶋氏:僕が伝えたいことは“患者さんのための医療”だということ。患者さんがどうしたら楽になるのか、そのためには治療師のエゴは捨てて治療しないといけないなと思う。若い鍼灸師にはたくさんの経験を積むことが、一人の患者さんを治療出来るということを分かってほしい。

鍼治療を受け続ける理由

――ではあと少しでステロイドを抜く鍼治療が終わるのですね?

 

柏原氏: はい。しかしその治療が終わっても、岡嶋先生のところには通い続けるつもりです。未病の間に鍼を打ってもらうことで元気な身体を維持したいと思うようになりました。これ以上いくと病になるというボーダーラインが未病であるとすれば、それを元に戻してもらえるということ。岡嶋先生にお世話になりたいという気持ちが強いですね。

 

――未病の鍼、ですか。

 

柏原氏: はい。病気になってから治療をしてもらうのではなく、そもそも病気にならない体を維持したいです。

 

岡嶋氏: 柏原さんの場合は2週間に1度来ていただければ、十分維持が出来ますよ。

 

柏原氏: ありがとうございます。今は治療に行くのが嬉しいです。夫婦で楽しみにしているんですよ、岡嶋先生の治療を。

 

――治療に行くのが嬉しい…すごいことですよね。

 

岡嶋氏: 有難いですね。

 

――では柏原さんはこれからも鍼を続けられるのですね?

 

柏原氏: そうですね。今年71歳で端境期に入るので加齢もあると思います。未病の状態を維持できるということ、それとは別に総合的に見て健康状態をキープできるよう、先生に委ねていこうかなと。上手に歳を取りたいですね。
いつまでも元気に歩きたい!!

 

岡嶋氏: 僕は1日でも早く柏原さんのステロイド治療が終わり、今まで通りの日常生活を取り戻してほしいと願います。僕に出来ることは、柏原さんがいつまでも元気に仕事が出来るよう、身体をサポートすること。僕は皆さんに楽しく人生を過ごしてほしいなと思います。楽しく過ごす=健康、だと思います。いつまでも体が元気で、好きなものを食べて好きなものを飲む。最高じゃないですか。

『生かされるのではなく、生きる』です。

 
大阪堂島のボガーツカフェにて 岡嶋氏
 

2016年10月12日 大阪堂島のボガーツカフェにて